何かにぶつかるような低い音。
だけど、痛くない
あれ……私、何ともない
ゆっくりと目を開けると、そこには確かに男の姿があった
くっ、と顔を歪ませ、鉄パイプを握っている
そしてそのパイプを掴んでいるのは――
「運が悪かっただけ?てめぇらナメたことぬかしてんじゃねぇ」
私の腕の中にいたはずの彼の姿は、一瞬で男の目の前に移動していた。
「お前……っ」
立ち上がる魁に、男は驚愕している。
「かかってこいよ……。俺はまだ死んでねぇぜ?殺すんだろ?その棒で……っ‼」
無理やり鉄パイプを奪うと、男を殴りつけた。
限界だった為か、男は半分気を失い倒れ込む。
残り3人――
「魁――」
私に気づくと、魁は守るように私の目の前に立ちはだかる。
「こいつに手ぇ出したら、てめぇらまじで殺すから」
魁は奪った鉄パイプで、残り3人に向かっていった。
傷だらけの体で何度殴られても魁は再び立ち上がり、その体で一生懸命私を守ろうとしてくれている。
私の入る隙間もないくらい、凄まじい殴り合いが続く。
そして―――……
「ぐあ……っ‼」
初めてここにきた時とは立場が逆転して、立っているのは魁だけになった。
男たちは完全に伸びきっている。
動かない彼らに対して、魁はカランと音を鳴らして鉄パイプを離した。
「魁……?」
呼吸を続け、ずっと一点だけを集中して見つめ続けている魁。
近寄ることも出来ずそっと名を呟くと、魁は私ではなく全くの反対方向を見ている。
「く……っ‼」
そこにいたのは明菜。
魁と目が合うなり悔しそうに舌を鳴らした。



