今までたくさん一緒に過ごしてきて、今では尊琉君がどんな人なのかよくわかってるつもりだ。
簡単に嘘をつくような人じゃない。そんな大切なことを、冗談で済ますような人じゃない。
「……何言ってるの?尊琉君……」
だから尊琉君はきっと、本気で私にそう言ったんだ。
でもどうしても納得が出来なくて、冗談であってほしいと思ってしまった。
「嘘でしょ……?ねぇっ‼何でそんなこと言うのっ?私たち、まだ付き合ったばっかりなのに……っ。私のこと、嫌いになったの!?」
駆け寄って腕を掴んで何度もそう訊ねても、ずっと表情を変えたりしない尊琉君
尊琉君は私の手を掴んで離すと、首を縦に振った。
「うん……そうだよ。嫌になったんだ」
まさかそんなことを言われるだなんて思ってなくて、涙が一気に込み上げてくる。
どうしていきなりそんなこと言うの?
すると尊琉君は、クスッと笑って頬を伝う涙を拭った。
「だって今の桜綾ちゃんは、俺の好きな桜綾ちゃんじゃないから……」
そう言って頭を撫でると、私の体をぎゅっと抱き締める。
「頼むから、最後くらいカッコいいこと言わせてくれよ。じゃなきゃ俺ずっと最低なままだろ?」
その時初めてわかった。
尊琉君の体が震えているということ。
まるで何かに耐えるように。
「尊琉君……?」
「俺の話、聞いてくれる?」
きっと私以上に、苦しんでる。
強く強く抱きしめる尊琉君に、私はハッキリと頷く。
「俺が桜綾ちゃんのこと、2年の時から知ってるって言ったよな?あれさ、一目惚れだったんだ」
尊琉君と初めて会った時、掃除を手伝ってくれた時、確かに尊琉君はそう言っていた。



