他に言うことがあったはず。
むしろ言うべきだったのかもしれない。
みんなもそっちを気にしてるだろうから。
でもどうしても言えない。
だからこれでいい
私にはこれが限界なんだ。
「お邪魔しました。ありがとう」
「冬休みも遊ぼうね。連絡いつでもして」
「うん。了解」
彩葉は自分の家だし、逢織と瞳も家の方向が違うからみんなと別れると私は1人になる。
暗くなってきた道を歩きながら、私の手は無意識の内にスマホへと伸びていて、文字を打っていた。
【会いたい】
たった4文字の言葉。
もちろん、送信先は――……
「おかえり」
もう家は目の前だという所で、声が聞こえた。
誰……?
暗がりの中でうっすらと見えた人影に、私は瞳を凝らす。
写ったのは――
「魁……」
ポツリと零れた名前。
そこにいたのは、“彼”じゃなかった。
私と確かに目が合うと、魁は静かに歩み寄ってくる。
「ずっと待ってたんだ。帰ってくるの」
「な、何で……」
どうして私が家にいないこと知ってたの?
「遼也に聞いた」
「遼也?」
遼也がどうして知ってるの?
もしかして、彩葉が言ったの?
それしか考えられないけど。



