好きが涙に変わって溢れてく。


やっとわかった

自分の気持ち。


変わることのない、俺の想い。



心から好きになった人は、ずっと俺の近くにいたんだ――……


そうとわかれば、もう止まらない。

早くこの気持ち伝えたい。



でも――……






「やーっと気付いたの?今までどれだけかかってるのよっ」



いきなり頭上から女の声が聞こえたと思ったら、彩葉が腕組みをして立っていた。



「彩葉……」


「全く、桜綾も魁も鈍すぎんのよっ。それにお互い素直じゃないしね」


「へ?」



お互い素直じゃないって……どういう意味だ?


あいつにはちゃんと好きな奴がいるはずだろ?



訳がわからず固まっていると、彩葉が驚いたように目を見開いた。




「まさか、知らなかったとか言うんじゃないでしょうね?」


「な、何を?」


「は!?あんたもしかして、少しも気付いてなかったの!?桜綾の気持ち‼」



何のことだか俺にはサッパリわからなくて、彩葉は心底呆れているようだ。




「あ~……まさか魁がここまで鈍かったとは……」



額を押さえて、ガックリと肩を落とす。


遼也は彩葉の言っていることが理解できているのか、俺を見てクスクスと笑っている。




「桜綾の好きな人の話、聞いたでしょ?」


「聞いたけど……俺じゃないって……」


「バカ。本人目の前にして言えるはずないでしょ」


「本人……?」



あっ、と慌てて口を押さえる彩葉。


だけどもうそれは無意味で、彩葉は諦めてまた口を解放した。



「いい?よく考えてみなよ。あの純粋だけど素直じゃない桜綾が、人を好きになったんだよ?桜綾の言ってる意味、あんたならわかるでしょ?」