だから毎朝私の頭を鞄で叩いたり、私の髪型を変だって言ったり出来たんだね。
だって本当の魁は、好きな人にはそんなことできない。
照れながら微笑んで優しく見つめて、ほんの少し喋ることしか出来ないんだから。
それが、明菜だったんだ。
あの時私の教室の前にいたのは、明菜を見ていたから?
明菜にお金を借りた時、返した時。
あの時見せた笑顔は、言葉は、私にはくれないの?
それが明菜だから、もっと惹かれたの……?
ただ魁と話せたこと、喋りかけてくれたりちょっかいを出してきたこと。
それだけで幸せを感じてたし、嬉しかった。
もしかしたら、なんて自惚れてた自分が本当に馬鹿みたいじゃない。
こんなにも私の心を奪っておいて、闇に突き落とすなんてね。
酷いよ……魁。
私は、あなたのことが大好きなのに……



