部屋の電気をつけると、尊琉君は部屋の中を見渡している。
「全然きれいじゃん。しかも桜綾ちゃんらしい部屋」
「そう?」
雑貨で埋もれた机に、人形だらけの壁際。
まぁ女の子らしい部屋だとは思うけど、汚い……
「何か飲む?そこに座ってて」
「ありがとう」
鞄を置いて、ブレザーのボタンに手をかける。
……中はあのカッターシャツのまま。
その瞬間、記憶が全て蘇ってきて手が震え出す。
「桜綾……ちゃん?」
何も言えなくて、隠そうとしてもどんどん震えるばかりで、ずっと尊琉君に背を向けていたら、突然後ろからギュッと抱き締められた。
優しくて包容力のある腕は、拒むどころかずっとそうしていてほしいと思ってしまう。
「無理するな。俺が全部、受け止めるから」
どうしてだろう……。さっきあんなに泣いたのに、また涙が溢れてきた。
本音が、零れそうになる。
「……怖い」
肩が震えて、私は尊琉君の方を見ると思わずギュッと抱き付いた。
「本当は、これからどうなるのか、怖いの……」
いつまで経ってもこの恐怖は消えそうにない。
ましてや、あちらには写真がある。いつみんなにバラまかれるかもわからない。
魁と話さなくても、明日にはもうみんなに知られていそうで……
「絶対にカメラ奪うから……っ。そんな写真、バラまかせたりしない」
苦しそうで尊琉君も震えていて、今にもここから飛び出していきそうで、私は力を入れて抱き締めた。
「いいの。だから行かないで……お願い。どこにも行かないで……」



