*魁side*
「片桐ー‼」
暗闇の中を再び進んでいく。
彼女の名前を何度叫んでも、返事がない。
「……どこにいるんだよ、あいつ」
迷路の中じゃ見つけるのは大変だ。ましてや暗闇の中なのだから。
ひたすら歩き続けて落ち着きを取り戻してきた俺は、スマホで片桐に向かって発信してみた。
その時――
微かだが、彼女の着信音らしき音楽が聞こえ、その音を頼りに俺は先へ進んでいく。
そして……
長い廊下の奥に、壁に挟まれるようにして床にしゃがみこむ1人の人影が。
暗闇の中でうっすらと見える人影は、片桐だとすぐにわかった。
「片桐‼」
「っ!?」
背を向けてしゃがみ込んでいた片桐は、名前を呼ばれてゆっくりと振り返る。
「……魁?」
小さく呟いたその姿を見て、俺は目を見開いた。
片桐の目から、大量の涙が溢れていたから。
俺は真っ先に駆けより、片桐を抱き締めた。
「あほか。お前何やってんだよ……」
「ごめんなさい……怖くて動けなくて、どうしたらいいのかわからなくて……」
やっと誰かと会えたことに安心したのか、片桐は益々涙を零す。
「無理しないで初めから止めとけばよかったじゃねぇか」
「だってぇ……っ」
小さな子供のように泣く片桐に、宥めるように俺は優しく頭を撫でる。



