「何せ思い出がたくさん詰まった場所だからねー?嫌な奴と好きな人が楽しそうにしてるところ見るなんてそりゃあ屈辱だよねーっ」


「あんた……っ、最低‼」


「嫌なら断ればー?また魁に嫌われてもいいならね」



完全に弱みを握ってる。


“じゃあね”と笑顔で私に手を振って、明菜はトイレから出て行った。



再び1人になると、私はそこがトイレということも忘れて地べたに座り込んだ。



「もう……やだ……っ」



たった1人――。






ずっと好きでいることが、そんなにいけないことなの?


好きになって良い人も、決められてるの……?



嫌いになれるなら、初めからなってる。


忘れられるなら、もうとっくに忘れてる。



自分の気持ちも伝えられないのに、どうしてこんなにも魁じゃなきゃダメなんだろうって、私自身知りたい。




「助けて……」



これは私への罰なのだろう。


きっと、意地を張って素直になれなかった私への。



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