遼也の話によると、魁はあれからずっと機嫌が悪いらしい。
授業もサボって出てないみたいだし。
『何とかしてやって』って言われたけど、私にはどうしようもないし……
魁のことじゃないんだし、別にそこまで根に持つことないと思うんだけどな……
明菜も魁を探しているようだ。
「どこに行ってんのかねー、奴は」
「なんかすごい悪い気がする」
「桜綾は何も悪くないじゃん」
でもきっかけがアレだからなぁ……
「探してくる?」
逢織がぼそっとそう言うと、急に心臓が激しくなった。
「な、何で…っ」
「だって責任感じてるんでしょ?桜綾が魁君の機嫌直してあげたら?」
そう言われてもなぁ……
「それは明菜の役目でしょ。私が出る幕じゃないし」
「でもきっかけは桜綾のせいでしょ?」
う……っ。
それはまぁ、そうかもしれないけど……
何かそう言われると益々申し訳ない気持ちになってくる。
「でも、明菜に悪いし」
「もっと酷いことされてきたのに?
このくらいいいじゃない。別にやましい気持ちがある訳じゃないんだし。そうでしょ?」
「うん……それはそうだけど……」
明菜も今探してるみたいだし、本当にいいのかな……
「そうと決まればほら、行っておいでっ‼先生には上手く話つけといてあげるから!」
ドン、と背中を押され、笑顔で私に手を振る3人。
そうだよね。別に変な気持ちはないし、友達として行けば。
それに私の責任でもあるんだし。
これくらいいいよね。
「行ってくるっ」
私は教室を飛び出した。