好きが涙に変わって溢れてく。


じっと見つめていたら、魁が視線に気付いたのかこっちを見た。


ヤバいヤバい……っずっと見てたなんて思われたくない。


……実際見てたけど。




「魁は明菜の表にしか惚れてないからね、きっと。裏を知ったらどうなるだろうね」


「魁だったら、きっとそれでも明菜のこと好きでいると思う」


「……どうして?」



どうしてって、私にはわかるから。


魁がどれだけ明菜のことを思っているか。




「魁の好きな気持ちは、私と同じだからね」



どんな魁でも私は好き。

だから魁にとっても明菜はそうだと思う。


どんな明菜だとしても、魁は否定しないと思う。


何しろ優しい奴だし。好きな人には特にね。




「でも、確実にそうとは言い切れないけどね。その前に明菜が本性出さないから絶対にバレないと思うし」


「それもそっか」



チャイムが鳴って、魁は明菜に手を振りクラスへ戻っていった。


私たちも席に着いた。







――――――――
―――――


魁と明菜は毎回一緒にいる訳じゃなかった。


魁は廊下で男子みんなで集まって話したりしてるし、明菜も同じ。



移動教室の後は絶対に彼らの前を通らなきゃいけないから、私はその度に下を向いていた。


足元だけを見ているのだから、つまづくことなんてないと思っていたのに……




「っ!?」



それは本当に一瞬で、避ける間すらなかった。


ドテン、と前に倒れ込むようにコケてしまい、見ていた男子達から一斉に笑い声が響く。



「はは……っこけてやんの」