「掃除に比べたらまだ課題の方が可愛いもんよ」
課題のプリントをまとめて、わかりやすいように引き出しの中にしまった。
「ねぇ、ここの問題ってどうやるの?」
「あぁここは――……」
男女2人が楽しそうに課題のプリントをしている。
いいなぁ……
きっと恋人同士なんだろうと一瞬でわかった。
「桜綾……ああいうのがいいの?」
「うわぁっ」
いきなり耳元で声がしたと思ったら、にゅっと亡霊のように肩の所に逢織の顔が。
びっくりした……
「うん、いいよね……ああいうの。わかんない問題とか教えてもらったりすると益々惚れそ」
「じゃあ頭いい人がいいんだ?」
「まぁどっちかと言えばね」
ただの憧れだし。それに憧れだったら他にもいっぱいある。
「でもあのアホはただのアホでしょ?」
「あのアホって……魁?」
「他に誰がいんのよ」
彩葉が言うなら“アホ”なんてどんどん出てくるっての。
遼也のことだってたまーにアホって言うし。
「確かに……魁はどっちかと言えばバカだよね」
テストもそんなに良くなかったし。私と競いあってもまだ私の方が上だったしね。
「でも好きになったの?」
「うん」
「んなアッサリと……」
だって言わなくてもわかってるでしょっ!?
大分片想いしてるんだから……
「どういう人がいいの?タイプとか理想とか」
「ん~……」



