「うん……。倒れそうになったとこ助けてくれて、それで……」
微妙な空気……気まずい。
「よかったじゃん」
意外にも、明るくそう言ってくれたのは尊琉君だ。
でも実際は、よかったのかよくなかったのかわかんないけど……
「お人好しというか、極度の鈍感というか……変な奴だよほんとに」
彩葉がポリポリと頭を掻く。
「うん……本当に、そうだよね」
急に優しくなったり声をかけてくれたり、私にしてみたらズルい所ばっかり。
そしてそんな彼に対して、気持ちを大きくしていく私はもっとズルい。
「でも……」
「“でも”?」
「あ、いや……何でもない……です」
無意識にそう言っていたから、自分でもわからなかった。
その先の言葉。
「じゃあ、俺はそろそろ戻ろうかな」
尊琉君は去り際に、思い出したように振り返る。
「桜綾ちゃん、今日帰り迎えに来るから」
「……あ、うん」
手を振って自分のクラスへ帰っていった。
あの言葉は、言い方を変えると一緒に帰ろうって意味。
結構当たり前になってきてるから、私ももう慣れてきた。
「好かれてるねぇ~、さ・や」
肘でちょっかいを出す瞳。
もうそれはわかっているけど、言葉に出されるとやっぱり恥ずかしい……
「もし尊琉と付き合ったら、きっとすごく大事にしてくれるだろうね」
それは、付き合えっていう意味なのかな?
確かにそう思うから否定は出来ないけど……
「あっ、変な意味はないから!気にしないでね」
「うん……」
逢織がそう思うなら、彩葉や瞳もそう思ってるのかな……



