真っ直ぐに、魁を見た。
「じゃあ……誰?」
「内緒。絶対に言わない」
「何でだよっ」
「魁の知らない人だから。前もそう言ったじゃない。だから言っても仕方ないでしょ?」
言えるはずないよ。
もう既に誰かと付き合ってるのに、“あなたが好き”だなんて。
だからこの嘘、許して下さい。
「そこまでして知りたいの?」
「いや……別にそういう意味じゃなくて……」
意地悪そうに顔を覗き込むと、魁は明らかに動揺している。
「さ、行こっか。もうすぐチャイム鳴るし」
「おぉ……そうだな」
うまく話をそらせた。
もうこの話題はあんまり出したくない。
教室に着くまでの間、私達は一言も言葉を交わさなかった。
「おかえり~」
のほほんとしているみんなが、私を迎えてくれた。
そこには尊琉君の姿もある。
この光景を見るととても癒され、安心感で満たされていく。
「どうだった?教材運び」
「嫌みにしか聞こえないけどさ?瞳さん」
「あちゃーバレた?」
そんなニヤニヤした顔で言われたら、嫌でもわかるっての。
「ちょっとは手伝おうって気はないのかねー」
「違うよ、言おうとしたら既に桜綾がいなかったの」
「へー……それはどうも」
わざと瞳に顔を近付けて無理矢理笑ってみせる。
何とも上手い言い訳だこと。
「言ってくれたら俺手伝いに行ったのに……」
「あ、大丈夫だよ。それに片付けは魁が……」
言いかけて私はバッと口を押さえた。
こんなこと尊琉君に言ったら……
「魁が手伝ってくれたの?」
彩葉がそう言った。



