好きが涙に変わって溢れてく。


半分、しかも重い方を魁は軽々と私の腕から奪っていく。



「いいよ‼私1人で大丈夫だからっ」



取り返そうとしたら魁はアッサリとそれをよける。



「前もちゃんと見えてねぇのに無理すんなよ。俺がいなかったら今頃ばらまいてんぞ」


「……う、ごめんなさい……」


「ホントお前って危なっかしいよな」



“早く案内しろよ”と言って魁は歩き始めてしまった。


トクン、と確実に胸が暖かくなっていく。

そんな気持ちを隠して、私は魁の後をついていった。






「ここ」



たくさんの教材が並べられた教室に入り、魁は自分の分と私の分も置いてくれた。



「ありがと……」



なるべく魁とは、目を合わさないようにしている。それにどこか気まずくて、あまり喋らなかった。



「なんか久しぶりだな……片桐とこうやって2人で話すの」



それでも魁はいつもの魁で、笑っている。




「うん、そうだね」



私は平常心を保つのにいっぱいいっぱいだっていうのに。



「まだそんな経ってねぇのに、すごい懐かしく感じる。あの頃は毎日っていうほど喋ってたのにな」


「……だけど今の魁には、明菜がいるじゃない」


「まぁ……それもそうなんだけどさ」



そう言って、照れ隠しに髪を触る魁。



「ありがとな。ホントにお前のお陰だと思ってる」


「私は何もしてないよっ」


「だけどお前がいなかったら、きっとこんな結果にはなってなかっただろうし」


「……そっか」



感謝されるのは嬉しいこと。


なのに今は、とても虚しく感じてたまらない。



この笑顔を見たら、余計に。