尊琉君のお陰で丸く収まるだろうと思っていた昨日の出来事は、最悪の状態で悪化していた。




「ねぇ、明菜になんて言ったの?ヒドいこと言ったんでしょ?」


「桜綾ってそんな人だったの?本当に最低な人間になったね」



教室の隅に呼び出しされて向かってみると、明菜といつも一緒にいる子たち。


明菜と私がまだ仲良かった時には、明菜を通じて仲良くなったりした。



周りから見たら、学校でいう“上”の立場の2人。




「それなら明菜に言ってやってよ。私も明菜があんな人だなんて知らなかったから本当にビックリしたし」


「はぁ?明菜は何も変わってないよ。変わったのは桜綾の方じゃん」



あいつの事だから、また上手いように説明してるんだろうな。


明菜は別に上の立場じゃないけど、この2人が明菜のこと可愛がってるから私の話なんて絶対聞く耳持たないだろうし。




「桜綾さ、どんどんみんなに嫌われてく一方だよ?明菜に謝ってよ」



普段の私なら誰かに嫌われるのが怖くてすぐ言いなりになってたと思う。


けど今は何の不安にも焦りにもならない。



私は強い意志と共に2人にこう言った。



「いいよ、別に嫌われても。あいつに謝るくらいなら、嫌われる方が全然まし」


「は……!?何だよそれ……っ‼」


2人の表情が、わなわなと怒りへ変わっていく。



「じゃあ、信じてくれるの?」



だけど私は絶対に怯みたくなかった。



「明菜は私を苦しめようと嘘バラまいたって言ったら、明菜のあの涙は嘘なんだって言ったら、私のこと信じてくれるの……っ?」