好きが涙に変わって溢れてく。


足は止まらず、早歩きのまま前方にいた人物にぶつかってしまった。



「ごめんなさ――……」



額をぶつけてその部分を押さえながら上を見ると、私の体はピタリと固まった。



「…………」



互いに目を見合わせ、沈黙が続く。





魁……





ぶつかった相手は、魁だった。


気まずくなって、その場にいることが耐えきれなくなり、すぐに私は目をそらしてそのまま魁の横を通り過ぎた。


もちろん無言のまま。



その時魁が何を思っていたかなんて考えもしなかったし、考えたくなかった。


私たちの関係は、このまま過ぎ去っていくんだろうと。

それが答えだと思ってたんだ。




「片桐……‼」



だから本当に驚いた。


彼に腕を掴まれた時は。



その拍子で私は手に持っていたもの全てを落としてしまった。


けれど私も彼も、そんなこと少しも気にしない。


それよりも私には、戸惑いしかなかったんだ。




「あのさ……俺……っ」



突拍子もない行動に魁自身も無意識だったのか、次の言葉を迷っているようだ。



「離して?腕、痛い」



聞きたくない。


私は無理矢理魁の手を振り払うと、落ちたものを拾ってすぐに走った。


その時一瞬だけ見えた魁は、悔しそうな悲しそうな表情だった。



どうしてそんな顔するの?


私のこと最低だって言ったくせに。

だったらもう、話かけないでよ。








じゃなきゃあなたを忘れられないよ……