度々クラスに顔を覗かせるようになった尊琉君。
逢織もいることで最近よく喋るようになっていた。
彩葉と瞳もすぐに馴染んだ。
そんな私たちをじっと見つめる視線。
誰かだなんて、確かめなくてもわかる。
ずっと1人の視線しか感じていなかったから。
音楽の授業。
周りは皆それぞれ楽しんで歌っていることをいいことに、あいつが私に近付いてきた。
隣の椅子に腰かけて、あくまでも表面は笑顔だ。
「最近ね、魁くんといい感じなんだぁ……。このままだと付き合うのも時間の問題かも」
何週間ぶりに声をかけられたと思ったらこんな言葉だなんて。
しかもその表情は優越感に浸っているにしか見られない。
「ねぇ、最近桜綾って蕪城尊琉って人と仲いーよね。やっと魁くんのこと諦めてくれたんだぁ」
嬉しそうな、嫌味が混ざった声。
それでも私は無視を維持して前だけを見る。
「でも桜綾のあの噂知られたら嫌われちゃうかもよ?ま、所詮噂だけどね。信じるか信じないかは勝手だし、物好きな男かもしれないしね」
その言葉に苛立ちが一気に上昇する。
私はキッと明菜を睨み付けた。
「噂を流したのはあんたでしょ」
「やめてよね、私だけのせいにするなんて。信じる奴がバカなだけじゃない」
否定しない。
その上、全く悪びれる素振りも全く見せなかった。
全部、この女のせい……
「ま、あとは卒業までのんびりと待つだけだね」



