扉の所で手招きをしているのは尊琉君。
すかさず逢織が、彩葉と瞳に耳打ちしている。
「あれが尊琉」
「へー……あの人が」
食い入るように見つめる2人。
私が尊琉君の元へ歩み寄ると、尊琉君はスマホを差し出す。
「あのさ、アドレスと番号教えてほしいんだけど」
「あ、うん……いいよ」
私もポケットからスマホを取り出して連絡先を交換すると、嬉しそうに笑っている尊琉君。
「ありがとう」
「ううん」
「やっぱり逢織とは仲いいんだな」
「……やっぱり?」
言うと尊琉君はあっと口を噤んだ。
「いや、何でもない」
後ろにいる逢織と目が合ったのか、尊琉君は軽く会釈して手を上げる。
「ありがとな、それじゃ」
「うん……」
尊琉君はスタスタと自分のクラスに戻っていった。
尊琉君って、ちょっと不思議な人かも。
「ねぇねぇ‼何話してたのっ?」
「何って……アドレスと番号教えただけだよ?」
楽しそうな3人。
「結構カッコいいね」
「う~ん……私はあんまりかなぁ」
頷いて納得の彩葉と、腕を組んで唸り声を出す瞳。
瞳のタイプにはすごいこだわりがあるからなぁ。
「でも見た目は優しそうでしょ?」
「その言い方だとホントは意地悪なの?」
「違う違う。ホントも優しいよ」