「すっごく優しい人だよ。顔も結構カッコいいし、背も高くて男らしいからモテる方なんじゃない?」
「へ~……」
見たことがない瞳と彩葉は、尊琉という人物像を頭に思い浮かべているようだ。
確かに背高かったな。顔も整ってたし。
「桜綾、ちょっと狙っちゃえばっ?」
「ないない。それに喋ったのは昨日だけだったし、もうないでしょ」
友達になろうとは言われたけど……どうしたらいいのかわかんないし。
それに私は――……
「でもさ、スゴくいい奴だよ?あいつ。友達だけでもいいんじゃない?」
何でそっちの方向に話を持ってくの……
しかもススメられてるよね、これって。
「友達になろうとは言われたよ。だけどいきなりそういう風には……。
っていうよりあっちが何とも思ってないでしょ、ただ掃除手伝ってくれただけなんだし」
これ以上話してるとすごく話題が大きくなっていきそうで怖い。
考えるだけで冷や汗が出てくる。
「な~んだ、つまんないっ」
「ははは……」
今はあんまり恋愛のことは考えたくない。余計なことまで考えてしまいそうだから。
――――――――
―――――
授業が終わって休み時間。
そんな時だった。声をかけられたのは。
「桜綾ちゃん」