「桜綾」
名前を呼ばれても、お兄ちゃんの顔を見れば魁と重なってしまう。
こんなんじゃ絶対、魁のことを忘れるなんて無理だよ……
「自分でわかるだろ?嫌なこととか辛い時とかがあると、すぐ顔に出る所。いつも何かあるとこうだから俺だってもう慣れたけど、無理して笑う所見ると心配になるに決まってるだろ?」
そんなのしょうがないよ……
誰にも気付かれたくないけど、思い出してばっかで抑えられないんだから。
忘れようとすればする程、頭に浮かんでくる。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「ん?」
「お兄ちゃんはさ、女の人なら誰にでも私みたいに意地悪するの?」
いきなりこんな質問をして、お兄ちゃんは戸惑っているようだ。
頭を掻くと、考えながら言った。
「そんな真剣になって聞かれてもな……別に意味なんかないし、お前の反応が面白いからからかうだけだよ」
面白いから……
魁もそんな気持ちだったのかな。



