「明菜、魁のこと好きなんでしょ?」
「そうだって言ったら?」
すんなりと認めるその態度のでかさに苛立ちが募る。
すると明菜はこう言った。
「言っとくけど、私に勝てるだなんて思わない方がいいわよ?今のうちにすんなり身を引いといたら?私たちが付き合うのも時間の問題だし」
勝ち誇った笑みを浮かべ、俯いている私の顔を覗き込んできた。
怒りと苛立ちで体が震えてくる。
確かにそうかもしれないけど、こんな最低な奴に言われるなんて。
「諦めないよ。私」
明菜の背中に向かって、私は強くそう言い放った。
「何があっても最後まで諦めない。あんたみたいな最低な奴に魁と付き合ってほしくないから」
「言ってれば?魁くんがそんなの信じるはずない。ましてや、友達ですらね。仲いいもん、私。みんな私の味方だしね」
「あんたこそ、いつまでも隠し通せるなんて思わない方がいいんじゃない?」
ガチャと扉が開き、続々と生徒が入ってくる。
何も言えなくなった明菜はそのまま自分の席につく。
明菜とは、一度も目を合わせなかった。



