「魁は?」
「俺はいいや。ここで待ってる」
「あ、じゃあ荷物持ってて。邪魔になるし」
「しゃあねえな」
カバンを魁に渡して、トイレへと向かう。
そして用をたした後、鏡で少し髪を整えてから外へ出た。
だが――……
「あれ……?」
魁が、いない。
いるはずの場所に、彼の姿は見当たらなかった。
「魁……?」
どこに行ったんだろう。
辺りを見渡してみるが、どこにもいない。
うそ……
「魁‼」
人はたくさんいるし、叫んでもあまり意味はないようだ。
どうしよう……
「あ‼そうだ電話‼」
思いついてコートのポケットの中に手を入れてみるが、そこには形すらない。
カバンの中か……。
カバンは魁が持ってるし……
すると、一気に顔から血の気が引いていくような気がした。



