そうか、そうだったんだ。


私が最初お兄ちゃんにドキドキしてた時。あれはきっと、魁と重なってたんだ。



「だから……辛い。彼と重なって見えるから、すごく苦しい」



ごめんねお兄ちゃん。

心配してくれてるのにね……


お兄ちゃんを見てると、魁のことを思い出すんだ。


それで現実を思い知らされる。


もう、逃げ出したい。




「ごめん、今日は晩ご飯いらないから。そのまま寝るってお母さんに言っといて」



お兄ちゃんの手を解いて、私は部屋まで走った。



今は何も、考えたくなかった。