「っ!?」
向かい合わせの状態で、お兄ちゃんと目が合う。
「何で……」
「目、充血してる。瞼も腫れてる。気付かない方がおかしいだろ」
反射的に私は自分の瞼に手を当ててしまった。
擦ったせいか、瞼は本当に腫れている。
「泣いただろ?」
「泣いてなんか……」
「本当に泣いてる時に限って、お前はいつもそうやって隠そうとする」
すぐに気付いてくれる。
どんな時だって、心配してくれる。
余計なお世話だっていうくらい。
「誰かにいじめられてんのか?」
「そんな訳ないよ……っ、高校生にもなっていじめなんて……」
笑いながら言うと、お兄ちゃんはポンポン私の頭を撫でた。
あ……
この感じが……
「……お兄ちゃんってさ、私の好きな人によく似てるの」
「え?」
「意地悪でいつもちょっかいかけてきてムカつくけど、そうやって心配してくれる所とか頭撫でてくれる所。すごく、よく似てる」