少し力強い魁の口調。
怒ってるに違いない。
「ゴメン……何でもない」
魁の明菜に対する気持ちは絶対に本気だ。
きっと何言ったって信じない。それこそ明菜の思惑通りだ……っ。
「明菜ちゃんはいい子だよ。お前と違って」
はぁ……とため息と同時に、魁は吐き捨てるように言った。
「優しいし、明るいし、思いやりがあるし。明菜ちゃんの笑顔見ると、凄く元気になれる」
聞きたく……ない。
そんな言葉、いらない。
今すぐにでも、耳を塞ぎたい。
「お前とは正反対だな」
……ほら、きっとまた冗談だ。
本気にしちゃダメ。
自分に何度も言い聞かす。
だけど……その言葉を聞いた時、私の中にある何かが粉々に崩れ落ちた気がした。
「……っ‼」
体が震える。抑えられない。
どうしよう……
「片桐……?」