ヤバい……魁に気付かれる。
「はぁ……お前って本当に片桐には甘いよな~」
え……?
すぐに顔を背けようとした時、遼也が言った一言に私は耳を疑った。
「アホか。そんなんじゃねぇよ。お前は先帰ってろよ。めんどくせーだろ?」
「はいはい。言われなくてもそうしますよー」
口を尖らせて子供みたいに言うと、遼也はそのまま帰っていった。
「…………」
嬉しかったのが、一気にどん底へ落ちたような気がする。
“そんなんじゃねぇよ”
もしかして……なんて思った自分がホントにバカだと思う。
有り得ないことなのに、高望みしてしまうなんて。
「片桐?」
「あ、ゴメン‼やっぱり私1人で出来るからいいや‼いきなりだし、魁もめんどくさいでしょっ!?」
顔を覗こうとする魁を避けるように、目も合わせないまま私は走って教室に戻った。
まるで逃げるように。



