「おー、片桐」


後ろから鞄で頭を叩かれて、私は地面に倒れそうになるのを必死に踏ん張った。


この声は間違いなく。




「……痛いわね!あんたは毎朝人の頭を叩いて何がしたいのよっ‼」


「お前の頭が無駄にでけぇんだよ~」



頭を押さえながら私の頭を叩いた張本人を睨みつける。


楽しそうに喋る彼を、キッと睨みつけた。



「ほんっとにあんたってムカつく‼」


「おー結構結構」



そんなことを言っていても、心の中はすごく高鳴っていた。


彼は私の好きな人。もう3年も片想いしている。


溝端 魁。



中学校の頃から私は片想いしてたけど、当時は全く話したこともない。



何をきっかけに?

そう聞かれてもよくわからない。



ただ、気づいたら周りが見えなくなるくらい、彼に落ちていたのだ。


きっと、その笑顔に。