「隼人くん !」
寝ているのかと思うほど目を閉じて動かなかった隼人くんは、私の声で顔を上げた。
「…麻由、おはよう」
寝起きみたいにぼんやりした瞳で、だけど私の姿を見て目を細くして微笑んだ。
おぉ…朝からこの眩しい笑顔は、ちょっと。
「お、おはよう! ごめんね、待たせちゃって」
笑顔を向けられただけで赤くなる顔に焦って、うつむき気味に言った。
「俺も来たばっかだから。…息上がってるけど、走ってきた?」
「ううん、ちょっと急いだだけ。余計なことしてたら遅くなっちゃいそうだったから」
「急がなくていいのに。まだ約束の時間より早いだろ」
「うん、だけどそれなら隼人くんだって、私より早く来てくれてるもん。もっとゆっくりでもよかったんだよ」
「俺はいい、ここで待ってたかったから」
「待たせたくもなかったし」と私の姿を眺めながらつぶやいた。


