恋するホイップ



目と目が間近で合う。



彼の瞳に自分が写ってると思うと、なんとも言えない感情に心臓がどきりと跳ねた。




「…キスされると思った?」



「……!」





楽しげに笑う目を見て、私は一気に赤くなった。




も、もしかしてからかわれた!?



「そんな睨むなよ。麻由が好きなやつのこと教えてくんねーから、ちょっといたずらしただけだって」


「だ、だけど、こんな、近…っ」



あたふたする私をみて、面白そうに笑いながら隼人くんは体を離す。



「あのさ、さっき言ったこと覚えとけよ」


私はまだ熱い顔を両手で覆いながら、ちらりと隼人くんを見る。


「さっき言ったこと?」


「麻由のことは俺がもらう。だから、他の男と付き合わないでほしいんだけど」


「え…」


それって、ほぼ。




「これ一応告白だから」


「!!」



予想が的中してしまって、今度こそフリーズする。



あぁ…今夜はとんでも無いことの連続だ……



「正確には予約告白。他のやつに奪られても困るし」




固まる私の頭にポンと手を乗せて、隼人くんは今の状況で反則なほど、可愛くも見える表情で笑った。





「今日は会えてよかった。また明日、迎え行く」




隼人くんはそう言い残し、もと来た薄暗い道へ消えていった。