驚きのあまり一瞬息が止まってしまった。
「な、な、なにを……」
混乱しすぎて足が一歩後ろに下がる。
それをみて、隼人くんがむっと眉間にしわを寄せて私を見た。
「やなのかよ」
「えっ…いや…そういうわけじゃなくって…!あの、びっ、びっくりしてっ!」
もしかしたら誤解させちゃってるかもしれない…
だけどもうなにがなんだか。
私はたぶん赤くなってる顔をうつむかせて口ごもる。
私の仕草を見て、隼人くんは少し沈黙した後、
私の手を掴んでグッと自分の方に引き寄せた。
強く引かれた体に驚く暇もなく、隼人くんの顔が私の目の前まで迫った。
鼻と鼻がくっつきそうなほど近くまで迫った彼の整った顔に思わずぎゅっと目を閉じる。
彼の唇の気配を感じ体が震えた。
けれど、少しの間のあと唇に感じたのは
フッとかすかな風だった。
びっくりして目を開けると、真っ黒な綺麗な瞳が同じように私を覗き込んでいた。


