「ついた」
「えっ」
隼人くんが指差す方を見ると、いつの間にか自宅に到着していた。
あ…結局なにも話さずついてしまった…。
少しがっくりしながらも、隼人くんに頭を下げる。
「送ってくれてありがとうございました。助かりました」
「うん」
「…えっと…じゃあ。隼人くんも気をつけて…」
私が玄関のドアに手をかけると、隼人くんが「麻由」と呼びかける。
「今、付き合ってるやついる?」
「…………えっ??」
ぴたりと脳内の思考から体まで動作が停止した。
つ、付き合ってる人??
「い、いない、です…けど…」」
いるわけないというか
いたことないというか。
人見知りの私はクラスメイトの男の子と話すこともあんまりない。
でもなんでそんなこと……?


