《麻由、あんたは帰ってきたら聞きたいことたくさんあるから》
「…私は答えることは何もないよ…」
私がうんざりしていることなど関係なしに、お母さんは言いたいだけ言ってさっさと電話をきってしまった。
「ずいぶんグイグイくる親なんだな」
隼人くんも少なからずあの母のテンションに驚いたらしい。
申し訳なさでいたたまれない…。
「ごめんなさい…ほんと…昔からああなんです…」
家に帰るのが憂鬱だ…。
「麻由、場所教えて」
「えっと…」
私は隼人くんの心遣いに甘えることにして、家まで送ってもらうことにした。
家に着くまで、
「ここ右です」
とか
「このまままっすぐです」
とか
私のナビゲートの言葉だけしか話すことはなく
お互い無言のまま夜道を歩いた。


