恋するホイップ



「ちょっと、言ってること真逆ですけど!」


通らない日は報告するっていうことになったのに

そもそも通行禁止令とは一体!?


「お前、さっきどんな目にあったか忘れたか? 22時半だぞ今。こんな時間に女子1人で出歩いてるのがおかしいんだよ」


「22時半!?」


そうだ、やばい。

さすがにお母さんに怒られる。


いや、それより…



「私、バイト帰りはこの道を通らないと帰れないんですけれど…」



「そこは問題ない。俺が迎えいく」


「むか…えぇ!??」


迎えって、隼人くんが私を!?



「そんな、迷惑かけられません! 今日だって助けてもらっちゃったのに…」


「何が大丈夫か、あほ。あんなことあった後だからこそ言ってる。1人で歩かせられるわけねえだろ」


あ、あほって言われた……。


「でもバイトは週4回あるし、それに今日はたまたま遅くなっただけで、あと数日したら収まります」


「おまえ、迎えに行かれんの嫌なの?」


「そんなことない! んです、けど… むしろありがたいし嬉しくて、心強いし…」


おいおい、私。

断るはずなのに余計な感情までいってるよっ


己のうっかりさに後悔しはじめると、隼人くんは私の頭をぽんぽん撫でて「ならいいだろ」と嬉しそうに笑った。


撫でられる行為が恥ずかしくて思わず俯く。


自然とそういうことしちゃうって、隼人くんて女の子の扱いに慣れてる気がする…。