「あれれー、泣いちゃって、どうしたの」
全くの他人なのに、自然な仕草で私の頰に触れようとしてきて
反射的に身を引いた。
「可哀想ー、男にフラれた? アホな男もいるよねぇ」
「気分晴らしたくない? 俺たちも暇だから遊んであげるよ」
「いえ…あの…」
有無を言わさず強く腕を引かれて、男の人に挟まれて身動きが取れなくなる。
こ、怖い。
も、もしかしてこれはナンパなんじゃ…。
「てか君、すげー可愛いね。その制服どこだっけな」
「オススメの店知ってんだ、行こ行こ」
馴れ馴れしく肩に回された腕にぞわっと悪寒が走る。
人見知りな上に若干男性が苦手なため、咄嗟に体が動かなかった。
うっ…どうしよう。
行きたくない、逃げたい!
でも怖いーーー!!
「ハハ、緊張してるよ、この子」
「可愛いじゃん、震えてるし」
「あの…結構です、離してください!」
力の限り抵抗するも、成人男性2人とJK1人の力じゃたかが知れてる。
どうしよう、誰か……
パッと周りに目を向けると、驚いたことに私たちを見ている人は何人もいた。
でも、誰も私を助けようとはしてくれない。
こんなことは日常茶飯事ともいうように。


