「あれ…?」
けれど、しばらく歩いてみても今日はいつもみたいにすぐにみつけられなかった。
注意深く周りを観察して見ても、彼の姿はどこにもない。
もしかして、今日に限ってここに来てないのかな…?
それかもう帰っちゃったとか。
もう一度きょろきょろと視線を巡らせる。
やっぱりいない…
「はぁ…」
がっかりして肩を落とす。
やっと会えると思ってたのに。
今日こそ話しかけようって決めて来たのに、なんだか拍子抜けだ。
「また明日来るしかない、か…」
明日こそ話しかけよう。
バイト、遅すぎちゃったせいかな?
明日は早上がりに…ってこんな事情でバイトの時間削ることなんてできるわけないか。
なるべく早く帰れるようにしよう。
明日はきっと大丈夫。いてくれるはず…。
そこまで考えて、自分の考えに顔をしかめた。
明日…
でも明日も来なかったら、どうするんだろう。
明日も、明後日も
絶対来るって保証なんてないのに。
何を根拠に今まで私はここに彼を求めてたんだろう…?
そうだ。
今までは偶然が重なって鉢合っていただけなのかもしれない。
この1週間で彼の気が変わってこの通りに来なくなったのかもしれない。
もしもこのままあの人がここに来なかったら、もう話す以前に会うこともできないってことだ。
「……」
やだな
急に悲しくなって苦しくなって、鼻の奥がツンと痛くなるのを感じた。
じわりと目元に涙まで滲む。
もう会えないなんて、嫌なのに…!
すると急にグイッと後ろから肩を掴まれて、びくりと肩がふるえた。
「君、どうしたの?」
「さっきからずっとここら辺ウロウロしてるけど、誰か探してる?」
「え…」
後ろを振り向くと、知らない男性が2人、いつの間にか私の目の前に立っていた。


