恋するホイップ



中間テストも無事終えて、久々に復帰した本日のバイト。




そのハードさは半端ではなかった。




私が入っていなかった1週間のうちに、丁度新メニューを出していたらしくお店の中はてんてこまい。




「あっ、麻由ちゃーん!!待ってたよー、もう見ての通りこの有様よ!着替えたらお客様ご案内してくれる!?」


私が返事するより早く、バイトの先輩の大西さんは忙しなく厨房の奥へ早足に消えていった。




す、すごい…いつもの倍は来てる。


ドアの向こうにミニ行列も出来てるし!




私はすぐに学校の制服からお茶屋の和服に着替えて、お客さんの接客に回った。



最初は久々の仕事の調子を戻せるかとか、今日のバイト後のことを考えて落ち着かない気分だったけど


そんなこと考える余裕もなく働き続け


ヘトヘトになっている頃には21時を大きく過ぎていた。




「4日前に新メニュー出してからずっとこんな感じなんだって。しばらく続くみたいよ」



お皿を拭いている私の隣で、大西さんがメニューのカタログをペラペラめくってため息をついていた。



「麻由ちゃんも大変でしょう、テスト明けにこんな夜中まで働かされちゃって」

「私は大丈夫です。大西さんの方が本業との両立、大変じゃないですか?この前風邪で休んでましたし、体調気をつけてくださいね」

「やぁねー、麻由ちゃんたらホント良い子!あたしなんて週2だから麻由ちゃんには遠く及ばないわよ」


ニコニコしながら大西さんは私の頭をぐりぐり撫で回す。



そこで増田さんがカウンターから顔を覗かせた。


「麻由ちゃん、もう21時半回っちゃったから、それこっちでやるからもう上がっていいよ。さすがに遅すぎるとご両親が心配するから」


「えっ、もうそんな時間ですか!? じゃあ、あと一枚なので拭いたら上がらせてもらいます」


「助かるわぁ、ありがとう」



私はさっさと皿を拭いて棚にしまうと、従業員のみんなに挨拶をして店を出た。