「わりぃ、苦しかった?」
悪い、と謝ってる割には顔がにやにやと緩んでいるのが腑に落ちない。
私は肩で息をしながら、上目で彼を睨んだ。
「わ、わたし、そういうの慣れてないんです、けど…!」
「ごめん、がんばって息しようとしてんのが可愛くてつい」
「ついじゃないっ、窒息するかと思った!」
ああぁ~~、やっぱり私が赤くなって隼人くんが笑うんだ――っ!
こうなることはもう日常茶飯事みたいになっちゃってるのが悔しい。
頭を抱える私に、今度はいじわるじゃない隼人くんの優しい声が降ってきた。
「麻由、俺も好き」
「…!」
膝に顔をうずめた状態のまま、私は目を見開いて固まった。
好き、って、いま。
一度聞いた言葉とはいえ、ストレートにまっすぐに、今の言葉は私に響いた。
「す、好き…?」
「ん。…なんか固まってるけど、ちゃんと伝わってんだろうな…?」
「う、うん。伝わってる、すごく」
やっぱりにわかには信じがたくて、実感している最中だ。
“好き”ってことばを今までいろんなところで使って聞いてきたけど
好きな人からもらう“好き”は、本当に本当に特別に感じた。
こんなに、泣きそうなくらいうれしくなる。


