曖昧ながらも頷く隼人くんをみて、私も確信した。
「うん、泣いてた時もあったかも。4月はバイトを始めたばっかりで、上手くやれなくて叱られてて…」
始めた2,3週間はひっきりなしに泣いてた気がする。
お店では泣いてる暇なんてなくて我慢したから、その分余計帰り道にせり上がってきて泣いてしまった記憶がある。
「初めは副店長の増田さんって人が怖くて…、散々ダメだしだったの。特に作法」
「へぇ…お茶屋って大変なんだ」
「うん、私も軽い気持ちでやり始めてたのが悪かったけど、働くってほんと大変」
世の中の社会人さんをほんとうに尊敬。
バイト初期の頃を思い出して、しみじみそんなことを思った。
「なんだ、泣いてるから嫌なやつに絡まれたかと思ってたけど」
ほっとしたような色が混じった声音に、私はくすりと笑った。
心配してくれたんだなぁ、どこまで優しいんだろ、隼人くんって。
「………ん?」
あれ、でも……
少し今の会話に違和感を覚えて、膝に乗せていた頭をパッと上げた。
私と隼人くんって、初めて会ったのは今月に入ってからのはずじゃなかったっけ…。


