ここから、隼人くんはずっと大通りを見てたんだ。
私があそこの饅頭屋さんの角から曲がってきて…それで、
仕立て屋の店の前くらいがちょうどここからだと一番見やすい。
目があってたのってあそこを通った時くらいかな?
あんまり覚えてないけど。
なんだかとても懐かしい気がする。
実際日数なんてそんなに経ってないのに。
というか、ここ数日間はあっという間に過ぎたように感じるなぁ。
いろんなことが進みすぎて
目が合うだけでしどろもどろしていたあのときが、昔のように思える。
「……なんか、不思議だな」
「え?」
横でポツリと、立てた膝に肘をついて頬杖をつく隼人くんが、感慨深く呟いた。
「ずっと見てるだけだったお前が、ここで、俺のすぐ横に座ってこの道を眺めてるなんてな」
目を細めて人が絶えなく行き交う大通りを見つめている。
隼人くんは遠いものを見つめるみたいに綺麗な瞳を光らせていた。
「……私も、不思議な気分」
ほんとに、ただ目があったら会釈して、会話もしないような、変な関係だったのに
今こんなに近くで話して一緒にいるなんて。


