近くなっている。
すぐ後ろに迫っているように感じるのは、恐れからくる錯覚だろうか。
いや……。
どくどく、と心臓が嫌な音を立てて鳴る。
再び少女は振り返った。
ーー誰も、いない。
その時少女は、安心するよりも、ざわっと悪寒が全身を巡った。
なぜ、靴の音がしない?
なぜ、あのような柔らかい、
まるで裸足で歩いているかのような音しか聞こえない?
なぜ、今、足音が
自分の真横で止まった?
「ねえぇ、おねえちゃん」
自分の足元になにかがへばりついた。
頭が妙に大きい幼児が、異様に飛び出した真っ黒な瞳をカッと見開かせ、どろりと涙を少女のローファーに滴り落とさせて
びたり、と足にしがみついて少女を見上げている。
「おねえちゃんのからだ、ほしいなぁぁ」
にっこりと笑った幼児からのぞいた歯は
血液を飲み尽くしたように真っ赤に染まっていたーーー。


