爆発まで残り5分となりました


「あの時お前を押したのも、必死だったって言ったら言い訳になるし。自分のことばっかり考えて、他人の命なんか考えやしなかった。……俺、最低なヤツだよ」



「違うよ……それはもう終わったことだよ。私があんなところにいたのも悪かったんだから……。轍が怪我したのも、元々私のせいだよ」



「……」



轍は膝に顔を埋めて、しばらく動かなかった。……足を引っ張ってるのは、怪我をしてる轍じゃない。──私なんだから。



黒板を見ながら、チョークで書かれた字を写していく。



でも、……柚希は無事なのだろうか。



別れてからもう何時間も経って、そして。さっきの退場で死んだなんて言われても、おかしくはない。



───でも、



もしかしたら、この校舎のどこかで生きていて、偶然。隣のクラスにいるとか、もしこの近くにいるなら。……いてくれたら。




震える手をぐっと机に押し付けて、キリキリと歯が鳴るほど食い縛る。



目の縁に滲み出た涙。……怖くて、本当は辛い。……柚希が生きているかも分からない、なんて。