まだ朝のSHR(ショートホームルーム)まで、時間は沢山ある。
それに朝練もしてこないなんて、一体どうしたんだろう。
私が本を閉じると、そのタイミングを見計らったように、佐藤くんが机に手をついた。
「あ、ちょっと頼みがあるんだけどさ」
「……」
「数学のノート貸してくんない?昨日、色々あって宿題ができなかったから」
まさかの宿題忘れ。
宿題が出来ないって、どんな家庭にいるんだろう。佐藤くん、普通にやってないだけじゃないの?
「……それならいいよ」
と仕方がなくオッケーすると、すぐに私の前に手を出して、「ノートをくれ」のサインを出した。
「サンキュー。終わったらすぐ返すわ」



