数分ほど歩いて、住宅街に出たところで、また小さな会話が始まった。





「……悠真は都会に住んでたの?」



「ん?いや、どっちかっつーと田舎かな」



「へぇえ。じゃあ、好きな教科は?」



「数学と、社会。国語とかはまるっきり駄目だったなあ」





全ての質問が、過去形になってしまう。



まあ、それもそうだ。これをしたいとか、あれをああしたいとか、悠真には"望み"が存在しない。




それっきり、会話は続かなくなった。




住宅街を歩いているうちに、知らないところまで来てしまっていた。



今いる道がどこなのかも、全く見覚えがない。もしかして、迷ったのだろうか。



「……あれ?ここ……は」