爆発まで残り5分となりました


「轍……もう、やめてよ!」




涙がボロボロと溢れる。



もう、これ以上……こんな事はしてほしくない。誰にも……手を汚してほしくない。




最後の方は金切り声になりながらも、私は必死に声に出した。




「もう、やめて……っ」





辛い。もっと辛い──。



ずっと死んでしまった人達の思いを抱えて生きてきた轍の方が、辛い。私よりも、ずっと。




形にしようとしなくたっていい。何も残らなくたっていい。




殺された人の気持ちなんか、私には分からないけど。……でも。




「轍は轍だよ!!他の誰でもない……っ。だから、ちゃんと自分の言葉にして伝えなきゃ……私には分かんないよ!」




だからこそ、分かってあげたいと思った。