爆発まで残り5分となりました


轍が助走もなしで飛びかかってくる。数メートルの、超跳躍。



私に向かって跳んできているというのに、動くことができない。涙の滲んだ目を、これでもかというほど強く塞ぐ。







「がぁっ!!」




ドンッという衝撃音と供に、呻き声が耳に流し込まれた。



運良く悠真の拳が轍にぶつかった。バランスを崩した轍は、私の隣の壁に体を強く打ち付け、落下。






辺りを漂う黒い霧から、微かに声のようなものが聞こえてきた。




『死にたくない』『辛い、苦しい』。泣き叫ぶ声さえも、黒の感情に変わっていた。





死んだ生徒達の復讐心に埋もれ、轍は黒い息を吐く。瞳の奥には剥き出しの憎悪。



もう、どうすることもできない。




耐えられなくなって、叫んだ。