爆発まで残り5分となりました


私も後についていこうと、顔をあげて振り返ろうとした、その時。




瓦礫の山の上に、いつの間にか血塗れの腕が乗っていることに気付いて、足を止めた。




上から降ってきたものなのだろうか。しかし、傷はなく、形は綺麗だった。





何だろう……何かが、変?




その手をじっと見つめる。でも、何も起こらない。ピクリと動きもしない。




……気のせいだったのか、と私が息を吐き出して、瞼を下ろす。



もう一度視界が開いた、その時───







「きゃああああああっ!!!」




一度目に焼き付いたら離れないような、酷く口を吊り上げた笑みが映って。




瓦礫の形に顔をあわせて、横に頭を倒した轍の姿が、はっきりと見えたのだ。