その男子生徒の名前は『キヨシ』というらしい。
キヨシは霧雨さんを見ると、ふっと吹き出して見せた。
そして、
「お前らさ、そんな不幸なチームになってかわいそうだなぁ。霧雨なんか、態度でかいだけの嫌われものなのによぉ!」
キヨシはにたぁっとわざとらしく笑うと、轍に向かってそう言ったのだ。
轍は大声を張り上げる。
「あ?お前今何て言ったんだよ」
「だからさ、不幸なチームだなって言ったんだよ。
────悠真のやつ、自分だけ一人でクラスに隠れて鍵かけてたし。ハッ、お前ら全員、裏切られたんだ!!」
悠真が……、裏切った?
頭のなかが真っ白になって、一瞬。呼吸が止まったような気がした。
轍も動揺している。



