「───山橋……」
「ん?」
山橋の震える肩に手をのせて、私は目を閉じた。この先がないなんて、もう思わない。
「そろそろ……泣いても、いいんだよ」
私が笑いかけると、山橋は「そうだな」と言って、口を閉じた。
……私達は、夏仍を信じるよ。
たとえもし、私達が死ぬとわかっていても、もう私は、決めたんだ。
あ……でも、もう少しだけ。夏仍と話したいことがあったな、なんて。
こんな私を助けてくれたのは、全部山橋のおかげでね。山橋は、いつの間にかこんなにも強くなってたんだ。
そしてそんな山橋が、今日初めて泣いたの。私の前で、声をあげて泣いていた。



