当然真夜中だ。
瞼の奥の瞳を刺す光も、若干量の月光しかないというのに、ふいに目が覚めた。
「……っ」
瞼が少し重かった。
べったりと、頬が机とくっついている。すぐに、泣き疲れて寝たんだ、と理解した。
「……あ、起きたんだね」
窓枠に座って、こちらを見ていたのは、汐見さんだった。
結んでいないのか、肩より下まで髪がかかっている。さらさらで、月の光を浴びて光る艶のある黒髪。
「あれ……?」
自分の制服の上には、もう一枚。黒い学ランが被せられている。
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