「嫌……だよ……っ」




最後の方は、殴り書きのようになっていた。



ボタボタと大きな涙の粒が、紙の上で弾ける。腕に巻かれたハチマキにも、涙が染みていく。





悠真は、本当に汐見さんが好きなの?




私は嫌だよ、そんなの。ずっと、偽の記憶のなかでも、悠真のことを好きでいた。




そして、今……初めて出逢った今、悠真のことが、こんなにも好きなのに。






破けた制服の上に、顔を押し付ける。



嗚咽を噛み殺して、泣いた。誰もいないのなら、叫んでやりたかった。





少し好きだっただけなら、こんな後悔なんてしなかったはずなのに。




「どうして……好きになんかなったの……っ」



私の馬鹿。……悠真の、バカ。